2021年1月7日木曜日

古書探訪 vol.2

寄稿したテキストを加筆修正、再掲します。

“Project Gutenberg” (プロジェクト・グーテンベルク)のサイトから手作り石けん愛好家の皆さんにおすすめの古書を紹介するコラム全5回の連載を担当しました。

テキスト中のタイトルをクリックすると、プロジェクト・グーテンベルクのサイト内の電子書籍をブラウザ上で閲覧できます。

プロジェクト・グーテンベルクについての紹介記事は、"古書探訪 はじまり" をご覧ください。

vol. 2

ハタヤ商会 AYA

『レ・フリュール・アニメ』 J.グランヴィル絵 T.ドロール著

“Les fleurs animées - Tome 1” 

J. J. Grandville, GARNIER FRÈRES, LIBRAIRES-ÉDITEURS (1867)

https://www.gutenberg.org/ebooks/54972


19世紀のフランス人画家、グランヴィルが描く大人の童話集です。

擬人化された花々が織りなす不思議で幻想的な世界。

表紙

花と蔓でタイトルを描いています
葉に記されているのは著者のグランヴィルとドロール、
監修の植物学者カールの名前です

きれいなだけでなく少し妖しい花のイラストレーションや美しいフランス語は、プリントアウトして飾ったり、石けんを包んだりしてもすてきです。


おすすめポイント

1. ドロップキャップ

ドロップキャップとは、洋書に見られる章のはじめの文字を大きくしたスタイルです。

この本ではドロップキャップが植物を組み合わせた飾り文字になっています。罫や枠などの装飾も洒落ていて、19世期のスタイルがお好きな方にはたまらないのではないでしょうか。

優雅なドロップキャップ


2. 花の擬人化

“la rose” (ばら)、”la camélia”(椿)、”la fleur d’oranger”(オレンジフラワー)、”le Myrte et le Laurier” (マートルとローレル)など、石けんの素材としておなじみの植物が登場します。花が人間だったらこんな風に話し、振舞うのだろうなと想像すると、それぞれの花への印象が深まります。

Églantine 野ばら
ローズヒップの首飾りとブレスレットをしていますね
とげと表情が何やら勇ましい

Fleur de Grenadier ざくろの花
人々を魅了する踊り子の彼女は、天真爛漫な娘です

Pavot 芥子の花
物憂げなどこか陶酔するような表情
花言葉は「眠る心」

Guimauve マーシュマロウ
彼女は修道院の看護師です
暑さで弱ったカエルとバッタを優しく看病しています

3. フランス語

フランス語の響きが好きなかたは、ぜひ一読を。花の名前をもじった言葉遊びや詩のようなリズムで綴られた文章は、声に出して読みたくなるかもしれません。

37ページから始まる "Comment le poéta Jacobus…” (詩人ジャコブと花言葉のおはなし)に挿入された花言葉や花曜日、花時間!の一覧は覚えておくと、いつか役に立ちそうですね。


初出 "soapy soaping vol. 3" 2020年5月20日発行


グランヴィルに興味を持ったかたにおすすめの本です。
amazonの商品詳細ページにリンクしています。

J.-J.グランヴィル画/T.ドロール著/谷川かおる訳/荒俣 宏解説

“Les fleurs animées ”の日本語版
全訳ではありませんが、荒俣氏の解説がすばらしい



グランヴィルの絵と出会って人生が変わったという鹿島茂のグランヴィルコレクション
“Les fleurs animées ”の挿絵も数点掲載されています