寄稿したテキストを加筆修正、再掲します。
“Project Gutenberg” (プロジェクト・グーテンベルク)のサイトから手作り石けん愛好家の皆さんにおすすめの古書を紹介するコラム全5回の連載を担当しました。
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プロジェクト・グーテンベルクについての紹介記事は、"古書探訪 はじまり" をご覧ください。
『レ・フリュール・アニメ』 J.グランヴィル絵 T.ドロール著
J. J. Grandville, GARNIER FRÈRES, LIBRAIRES-ÉDITEURS (1867)
https://www.gutenberg.org/ebooks/54972
19世紀のフランス人画家、グランヴィルが描く大人の童話集です。
擬人化された花々が織りなす不思議で幻想的な世界。
きれいなだけでなく少し妖しい花のイラストレーションや美しいフランス語は、プリントアウトして飾ったり、石けんを包んだりしてもすてきです。
おすすめポイント
1. ドロップキャップ
ドロップキャップとは、洋書に見られる章のはじめの文字を大きくしたスタイルです。
この本ではドロップキャップが植物を組み合わせた飾り文字になっています。罫や枠などの装飾も洒落ていて、19世期のスタイルがお好きな方にはたまらないのではないでしょうか。
2. 花の擬人化
“la rose” (ばら)、”la camélia”(椿)、”la fleur d’oranger”(オレンジフラワー)、”le Myrte et le Laurier” (マートルとローレル)など、石けんの素材としておなじみの植物が登場します。花が人間だったらこんな風に話し、振舞うのだろうなと想像すると、それぞれの花への印象が深まります。
3. フランス語
フランス語の響きが好きなかたは、ぜひ一読を。花の名前をもじった言葉遊びや詩のようなリズムで綴られた文章は、声に出して読みたくなるかもしれません。
37ページから始まる "Comment le poéta Jacobus…” (詩人ジャコブと花言葉のおはなし)に挿入された花言葉や花曜日、花時間!の一覧は覚えておくと、いつか役に立ちそうですね。