寄稿したテキストを加筆修正、再掲します。
“Project Gutenberg” (プロジェクト・グーテンベルク)のサイトから手作り石けん愛好家の皆さんにおすすめの古書を紹介するコラム全5回の連載を担当しました。
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プロジェクト・グーテンベルクについての紹介記事は "古書探訪 はじまり" をご覧ください。
ハタヤ商会 AYA
最終回なので、これまで紹介しきれなかった本をまとめて紹介します。
『花言葉』ケイト・グリーナウェイ
“Language of Flowers” Kate Greenaway, George Routledge and Sons (1884)
イギリスのヴィクトリア朝時代の花言葉集です。
ノスタルジックな挿絵や装飾が麗しい。
『花言葉』より
帽子にデコレーションしているのは白いばらでしょうか。
白いばらの花言葉は「わたしは、あなたにふさわしい」
そう思って眺めると絵の印象が変わりますね
ばらの花言葉が34個ずらりと並んでいたり、「わたしの解毒剤」「早く取り付けて」「美しいなんて呼ばないで」など、どんなシチュエーションで使うのか想像するのも楽しい不思議な花言葉も登場したり(どの花か探してみてくださいね!)…
のんびり眺めるのにおすすめの1冊です。
『女王の愉しみ もしくはフルーツの保存法、香水の作り方と上等な芳香水の蒸留法』
作者不詳
Anonymous, E. Tyler, and R. Holt(1671)
これはまた長いタイトル!
17世紀イギリスの婦人向け実用書です。
ハーブやフルーツを使った料理やハウスキーピング、化粧水、クリームなどのコスメティックスのレシピなど生活全般の知恵がたくさん。
350年前の人々も現代のわたしたちと同じようなことをしていたのですね。
当時の著名人が考案、愛用していたレシピや再現できそうなレシピも多数。「ラズベリーのワイン」は作りやすくて、とってもおいしかったです。
『ハーバル 近代植物学の起源と進化』アニエス・アーバー
“HERBALS THEIR ORIGIN AND EVOLUTION A CHAPTER IN THE HISTORY OF BOTANY 1470-1670” AGNES ARBER, CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS (1912)
近代ヨーロッパの本草学史、植物学史の文献と著者を紹介した本です。
収録されている豊富なイラストレーションがすばらしく、古い時代のラテン語のフォントや木版画による植物画などとても格好いい。
ちょっと不気味な伝説上の植物画も好奇心を刺激します。大好きな1冊です。
古書探訪、ひとまずお仕舞いにいたします。
皆さんも本とのすてきな出逢いを!
初出 "soapy soaping vol.5" 2020年6月20日発行