2021年8月24日火曜日

藍と薄荷  tranquillo

 インディゴパウダーとメンソールクリスタルを使った涼しげな石けん


sapone "Tranquillo"

オリーブオイル
米油
ごま油
ひまし油
ホホバオイル
ココナツオイル
パーム油

メンソールクリスタル
インディゴパウダー
竹炭
二酸化チタン

シンプルなデザインと香りで2種類。
静かな海辺の雰囲気で、ほどよく落ち着いたミンティーな香りと、穏やかでハーバルな香り。




グラデーションなし

ペパーミント
パインニードル
コーンミント
シダーウッド・アトラス


グラデーションあり

セージ
ローズマリー
アミリス


グラデーションありの石けんの香りは、ブレンドしたてのシャープでくせのある印象からは想像がつかない、まろやかな緑色を連想させるやさしい香草の香りです。
そんな香りの変化も楽しい。



2021年8月17日火曜日

精油を知る本  le mie Bibbie degli oli essenziali

 精油に関する本を紹介します。

タイトルは amazon の詳細ページにリンクしています。



・精油の成分を知りたいときに

"Aromatherapy: Essential Oils in Colour",  Rosemary Caddy, Amberwood Publishing Ltd, 1997

大まかな精油の成分を知りたいときに。

成分と効能をグラフで表していてビジュアルで確認できます。コンパクトで見やすくおすすめです。

取り上げられた精油は90種類。

少なめですが厳選されたラインナップです。

日本語版は

カラーグラフでわかる エッセンシャルオイルの特性と使い方』

川口 健夫訳 フレグランスジャーナル社(1999)


原書、日本語版ともに絶版のようですがプレミア価格もつかずお買い得です。気になるかたは古本が流通している内にぜひ。


ビジュアルガイド精油の化学: イラストで学ぶエッセンシャルオイルのサイエンス

長嶋司 フレグランスジャーナル社(2012)

精油の成分とその特徴を知りたいときに。

各成分の説明も詳しく、構造がイラストで載っているのもポイントです。

続編の『ビジュアルガイド精油の化学2 日本の精油と世界の精油:日本の香り、世界の希少な香り、芳香蒸留水の香り 』(2021) では、香りの強さや持続性についても詳しく書かれているようで、手にするのが楽しみです。


400種類!の精油と206種類の成分のプロフィール。安全性ほか、さまざまな情報が網羅されています。

子版 のサンプルでかなりのページが読めます。サンプルだけでもかなりの情報量です。

 →"Essential oil safety"  子版 

日本語版は

『精油の安全性ガイド 第2版 』林 真一郎監修, 池田 朗子訳

フレグランスジャーナル社 (2018)



・精油の辞典 

最新4訂版 アロマテラピー図鑑 』佐々木薫監修 主婦の友社 (2019)


シンプルで読みやすい。

記載されている「相性のよい精油」はブレンドに迷ったときの参考になります。


アロマテラピー精油事典』バーグ文子 成美堂出版(2016)

150種類の精油をカバーしていて、知りたい精油のほとんどが取り上げられています。

香りの系統ごとに精油が載っていて調べやすい。

似ている精油の違いがわかりやすい点もおすすめです。刺繍の植物イラストもすてき。


アロマテラピーの教科書』和田文緒 新星出版(2008)

たくさんの事柄がぎゅっと詰まった宝箱のような本です。学名の読みかたまで!

各精油の「どんなときに選ぶ?」の記述が好きです。具体的な説明にうなずきながら、すっと腑に落ちる精油が選べます。


・精油の化学

化学の基礎があると精油について納得して理解できることが増えそうです。

一歩踏み込んで精油を知りたいときにおすすめの本です。


まるわかり!基礎化学』松岡雅忠ほか 南山堂(2012)


精油や石けんの化学を理解する前段階の基礎知識を学び直すのにぴったりの本です。
大人が化学をおさらいするのに程よいボリューム。

化学に疎いわたしでもこの本でおさらいしたおかげで、これまで流し読んでいた精油の成分や化学についての記述を立体的に読めるようになりました!


精油(エッセンシャルオイル)の化学』デイビッド・G・ウィリアムズ

フレグランスジャーナル社(2000)

有機化学の基礎、精油の科学的、薬学的な観点での解説書。

他の本では触れられていない興味深い記載もあり、高価な本ですが手元に置いておきたい1冊です。


「香り」の科学 匂いの正体からその効能まで』平山 令明 講談社 (2017)


アロマテラピー関連の書籍とは違った視線から「香り」を知るために。

香りを科学的に捉えた本です。読み物としてもおもしろい。

新書版なので持ち歩きやすいのもいいですね。

化学の基礎があると一層楽しみが深まるのではないかと思います。わたしは上で紹介した「まるわかり!基礎化学」でおさらいしてから読み直しました。


香りは直接触れるのも楽しいですし、本を読んで知識を深めるのも楽しいですね。

2021年6月2日水曜日

マンドルラ Latte di Mandorla

 アーモンドミルクの石けん


マンドルラ Sapone al Latte di Mandorla


オリーブオイル
スイートアーモンドオイル
ひまし油
ココナツオイル
パームオイル

アーモンドミルク*

ココアパウダー
大麦若葉パウダー

精油
マートル・モロッコ、ベルガモット、シダーウッド、カルダモン、パチュリ

*アーモンドミルクの作り方は、こちらの記事で紹介しています





手に取って感じるのは、いろいろな香りがゆったりと調和した穏やかな香り。
泡立てると渋みのグリーン・ウッディ調の香りが広がります。
地中海沿いのどこか、小さな町のイメージです。



2021年1月29日金曜日

古書探訪 vol.4

 寄稿したテキストを加筆修正、再掲します。

“Project Gutenberg” (プロジェクト・グーテンベルク)のサイトから手作り石けん愛好家の皆さんにおすすめの古書を紹介するコラム全5回の連載を担当しました。

テキスト中のタイトルをクリックすると、プロジェクト・グーテンベルクのサイト内の電子書籍をブラウザ上で閲覧できます。

プロジェクト・グーテンベルクについての紹介記事は "古書探訪 はじまり" をご覧ください。

vol. 4
ハタヤ商会 AYA


最終回なので、これまで紹介しきれなかった本をまとめて紹介します。


『花言葉』ケイト・グリーナウェイ
Language of Flowers”  Kate Greenaway, George Routledge and Sons (1884)

『花言葉』より、中扉
グリーナウェイの描くビクトリアンスタイルに
当時の人々は夢中になったそうです。

イギリスのヴィクトリア朝時代の花言葉集です。
ノスタルジックな挿絵や装飾が麗しい。


『花言葉』より
帽子にデコレーションしているのは白いばらでしょうか。
白いばらの花言葉は「わたしは、あなたにふさわしい」 

そう思って眺めると絵の印象が変わりますね

ばらの花言葉が34個ずらりと並んでいたり、「わたしの解毒剤」「早く取り付けて」「美しいなんて呼ばないで」など、どんなシチュエーションで使うのか想像するのも楽しい不思議な花言葉も登場したり(どの花か探してみてくださいね!)…
のんびり眺めるのにおすすめの1冊です。


『女王の愉しみ もしくはフルーツの保存法、香水の作り方と上等な芳香水の蒸留法』
作者不詳
Anonymous, E. Tyler, and R. Holt(1671)

これはまた長いタイトル! 
17世紀イギリスの婦人向け実用書です。
ハーブやフルーツを使った料理やハウスキーピング、化粧水、クリームなどのコスメティックスのレシピなど生活全般の知恵がたくさん。
350年前の人々も現代のわたしたちと同じようなことをしていたのですね。
当時の著名人が考案、愛用していたレシピや再現できそうなレシピも多数。「ラズベリーのワイン」は作りやすくて、とってもおいしかったです。


『ハーバル 近代植物学の起源と進化』アニエス・アーバー

近代ヨーロッパの本草学史、植物学史の文献と著者を紹介した本です。
収録されている豊富なイラストレーションがすばらしく、古い時代のラテン語のフォントや木版画による植物画などとても格好いい。

“PIONIA” ピオニー、牡丹です。
このデフォルメされた線の愛らしさ!

ちょっと不気味な伝説上の植物画も好奇心を刺激します。大好きな1冊です。

“MANDRAGORA”
マンドレイク(マンドラゴラ)は引き抜くときに悲鳴を上げ
聞いてしまうと死に至ると信じられていました。


古書探訪、ひとまずお仕舞いにいたします。
皆さんも本とのすてきな出逢いを!


初出  "soapy soaping vol.5" 2020年6月20日発行

芥子 l' oppio

 この花の花言葉、


妄想、怠惰、忘却、眠り、

それから、わたしに毒。

l'opium 芥子

椿油、ごま油、米油、パーム油、ココナツ油、

パーム核油、メドウフォーム種子核油

精油
ジュニパーベリーCO2、ベルガモットBF、クラリセージ、
ゼラニウム・ブルボン、コニャック、
サンダルウッド・マイソール、パチュリ

ブルーポピーシード

軽い酩酊をもたらすような
陶酔感のある香り

時には、自堕落な快楽に耽る妄想
に耽るのもいいかも。


Ça vous permet d'absorber le plaisir décadant,
sans Opium.

これ、は入っていませんが


Sans Actinidia, aussi...

またたび、も入っていませんが


きっと、虜。

旧ブログ『ハタヤ商会の手作り石けん』2011年9月30日より転載

昔の記事ですが好きな石けんなので。
この石けんを作ったときに前記事 古書探訪 vol.2 で紹介した “Les fleurs animées - Tome 1” の芥子を思い出していたような気がします。

2021年1月7日木曜日

古書探訪 vol.2

寄稿したテキストを加筆修正、再掲します。

“Project Gutenberg” (プロジェクト・グーテンベルク)のサイトから手作り石けん愛好家の皆さんにおすすめの古書を紹介するコラム全5回の連載を担当しました。

テキスト中のタイトルをクリックすると、プロジェクト・グーテンベルクのサイト内の電子書籍をブラウザ上で閲覧できます。

プロジェクト・グーテンベルクについての紹介記事は、"古書探訪 はじまり" をご覧ください。

vol. 2

ハタヤ商会 AYA

『レ・フリュール・アニメ』 J.グランヴィル絵 T.ドロール著

“Les fleurs animées - Tome 1” 

J. J. Grandville, GARNIER FRÈRES, LIBRAIRES-ÉDITEURS (1867)

https://www.gutenberg.org/ebooks/54972


19世紀のフランス人画家、グランヴィルが描く大人の童話集です。

擬人化された花々が織りなす不思議で幻想的な世界。

表紙

花と蔓でタイトルを描いています
葉に記されているのは著者のグランヴィルとドロール、
監修の植物学者カールの名前です

きれいなだけでなく少し妖しい花のイラストレーションや美しいフランス語は、プリントアウトして飾ったり、石けんを包んだりしてもすてきです。


おすすめポイント

1. ドロップキャップ

ドロップキャップとは、洋書に見られる章のはじめの文字を大きくしたスタイルです。

この本ではドロップキャップが植物を組み合わせた飾り文字になっています。罫や枠などの装飾も洒落ていて、19世期のスタイルがお好きな方にはたまらないのではないでしょうか。

優雅なドロップキャップ


2. 花の擬人化

“la rose” (ばら)、”la camélia”(椿)、”la fleur d’oranger”(オレンジフラワー)、”le Myrte et le Laurier” (マートルとローレル)など、石けんの素材としておなじみの植物が登場します。花が人間だったらこんな風に話し、振舞うのだろうなと想像すると、それぞれの花への印象が深まります。

Églantine 野ばら
ローズヒップの首飾りとブレスレットをしていますね
とげと表情が何やら勇ましい

Fleur de Grenadier ざくろの花
人々を魅了する踊り子の彼女は、天真爛漫な娘です

Pavot 芥子の花
物憂げなどこか陶酔するような表情
花言葉は「眠る心」

Guimauve マーシュマロウ
彼女は修道院の看護師です
暑さで弱ったカエルとバッタを優しく看病しています

3. フランス語

フランス語の響きが好きなかたは、ぜひ一読を。花の名前をもじった言葉遊びや詩のようなリズムで綴られた文章は、声に出して読みたくなるかもしれません。

37ページから始まる "Comment le poéta Jacobus…” (詩人ジャコブと花言葉のおはなし)に挿入された花言葉や花曜日、花時間!の一覧は覚えておくと、いつか役に立ちそうですね。


初出 "soapy soaping vol. 3" 2020年5月20日発行


グランヴィルに興味を持ったかたにおすすめの本です。
amazonの商品詳細ページにリンクしています。

J.-J.グランヴィル画/T.ドロール著/谷川かおる訳/荒俣 宏解説

“Les fleurs animées ”の日本語版
全訳ではありませんが、荒俣氏の解説がすばらしい



グランヴィルの絵と出会って人生が変わったという鹿島茂のグランヴィルコレクション
“Les fleurs animées ”の挿絵も数点掲載されています


古書探訪 vol.3

 寄稿したテキストを加筆修正、再掲します。

“Project Gutenberg” (プロジェクト・グーテンベルク)のサイトから手作り石けん愛好家の皆さんにおすすめの古書を紹介するコラム全5回の連載を担当しました。

テキスト中のタイトルをクリックすると、プロジェクト・グーテンベルクのサイト内の電子書籍をブラウザ上で閲覧できます。

プロジェクト・グーテンベルクについての紹介記事は、"古書探訪 はじまり" をご覧ください。

vol. 3

ハタヤ商会 AYA


『コロニアル・デイズの子どもたち』より『リメンバー・ビドルの石けん作り』 
Carolyn Sherwin Bailey, A. FLANAGAN COMPANY CHICAGO (1925) 


1800年代後期アメリカの開拓時代を舞台にした「大草原の小さな家」と聞くと
「ああ! ロバートソン夫人が獣脂と灰汁で石けんを作っていた!」
ととっさに頭に浮かぶ皆さんにおすすめです。

「大草原の小さな家」の開拓時代より約100年前の植民地時代を舞台にした子ども向けの短編集では、当時の子どもたちの物語が清教徒の暮らしや歴史上の人物、出来事などとともに綴られています。

第5話 "THE JACK-O’-LANTERN WITCH"  より
ワンピースに帽子とネッカチーフ…
素朴でかわいいファッションも見どころです。

当時の清教徒はキャンドルや石けんなどの生活必需品は自家製を使うべし、とされていました。
そうです! 
3つ目のおはなし “The Soap Making of Remember Biddle” では手作り石けんが主役級に登場します。

12歳の女の子リメンバーが、これまでお母さんの石けん作りを手伝ってきたのだから一人でも作れるわ、と留守番中に石けんを作り始めます。
石けんを作ったおかげで彼女はある災難を逃れることができるのですが、皆さんの読む楽しみのためストーリーについては詳しく書かないでおきますね。


おすすめポイント

1 材料は灰汁と脂
リメンバーは麦わらと木の灰、水から灰汁を作り、十分に使えるアルカリ液になったかを生卵を使って確認しています。指がアルカリ液に触れないように、きちんと気をつけながら! 
油脂も脂身や廃油から精製しています。
むかしの家庭での石けん作りの様子がくわしく描写されていて、手作り石けんのルーツを間近に眺める心地です。

主人公のリメンバーが石けんを作っているところです。

大きな樽ですね! 底には穴が開いています。
麦わらと木の灰を濾してアルカリ液を用意し、
下のバケツに溜めて石けん作りに使います。


2 モラセスキャンディみたい
当時、家庭での石けん作りはコールドプロセスではなくホットプロセスが一般的でした。くつくつ煮た “soft soap” (石けん)はとろりとした茶色のゼリー状で「モラセスキャンディのよう」と表現されています。草の灰から作るアルカリを使っているので出来上がった石けんはカリ石けんのようなペースト状なのでしょう。
石けんの作り手ならではの想像が広がる描写です。


3 キャンドルやハーブ
ハーブについての記述や、別のおはなしではキャンドルを作る描写も。
リメンバーのお母さんはハーブを煎じる腕前が評判です。そのため遠くの村人の看病に出かけることになり、リメンバーは留守番をしていたのでした。

第4話 “THE BEACON TREE” より
ディッピングキャンドルを作っている様子

使い古したキャンドルや獣脂を溶かして原料にしていたようです。
この場面では溶かした牛脂にキャンドルの芯を繰り返し浸して
クリスマスキャンドルを作っています。


1925年の作品ですから先住民族についてなど、現代とは違った視点で書かれている事柄もありそうです。
歴史に詳しいかたには歴史観の移り変わりも興味を引くのではないかと思います。


初出  "soapy soaping vol.4" 2020年6月10日発行